貧乏かわせみ

辛く悲しい本当の貧乏です。笑う余裕はなく泣く暇もなく、それでも精一杯、今日を生きたい。

2016年08月

ブラック企業
ブラック企業に就職すると、それは恐ろしいことになります。
26歳、勤続10年で手取りが13万円。
今やっと、解放されました。



現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしていく。

 青葉が濃くなり始めた真夏の札幌で、最初に聞いたのは凍えるような真冬の体験談だった。

 会社員のヒロシさん(29歳、仮名)は深夜に帰宅すると、真っ先に厚手のダウンジャケットを着込む。マイカー通勤で薄手のジャケットしか着ていないので、本格的に寒さを感じるのはむしろ自宅に帰ってからだ。2月に入ると、室内の温度が氷点下を下回ることも珍しくない。本当なら、備え付けの灯油ストーブのスイッチを入れたいところだが、暖房費を節約するため、ストーブをつけるのは朝の30分だけと決めている。

 そして、コンビニで買った総菜パンを2個、食べる。カップラーメンで身体を温めるか、栄養面を考えるならせめて弁当にすればいいのにと思うが、湯を沸かす時間が惜しいし、弁当は高いという。とにかく「早く食べて、早く寝たい」。時刻はとっくに零時を過ぎているが、翌朝も定時より1時間早い7時半には出勤しなくてはならない。かじかんだ手でパンの空き袋をゴミ箱に捨てると、ダウンジャケットを着たままベッドにもぐり込む。

■ 勤続10年で手取りは13万円

 専門学校を卒業し、札幌市内の印刷会社に正社員として就職した。パート従業員を合わせても十数人ほどの小さな会社で、ヒロシさんの毎月の手取りは約13万円。勤続10年、この間の昇給額はわずか5000円ほどだ。当初、残業は月約30時間だったが、残業代をもらった記憶はなく、有給休暇を取れるのかと尋ねたときは「うちにはそういうの、ないから」と言われた。

 入社以来、スキージーというヘラ状の特殊な工具を操作して印刷物にインクを伸ばす仕事を任されてきた。インクの粘度や量によって工具の重さは4~5キロになることもあるし、ヘラの角度やかける圧力によってインクの出る量が違ってくる。重労働のうえ、神経を使う仕事である。スキージーを黙々と引いては、押し戻す日々。細身の体形のヒロシさんだが、利き腕の右腕は左腕に比べてひと回り太く、長くなった。

 この会社ではミスをした社員から罰金を徴収する慣習があった。ヒロシさんも入社数年目のころ、インク切れに気がつかずに作業を進めてしまい、商品の一部を廃棄せざるをえなくなったことがある。彼は自分のミスだと認めたうえで、このときは新人教育に追われていたところを、納期に間に合わせるようにせかされ、ついインクの残量を確認するのを忘れてしまったという。

 このときに請求された罰金が約25万円。インク切れには比較的早く気がついたはずだったので、いくら何でも高すぎるのではないかと訴えると、罰金にはこの間のパート従業員らの人件費も含まれているのだと説明された。その後しばらくは、給料日のたびに罰金として1万円を支払い続けたという。

 労働者のミスに罰金を科すことについては、労働基準法などで給料からの一方的な天引きは禁じられているほか、金額にも一定の上限が設けられている。もちろん、正社員に有休がないなどという説明にいたっては100%違法である。ヒロシさんは「ヘンだな、ヘンだなとは思っていました。でも、小さな会社で、社長から直接“うちはそういう決まりだから”と言われると、“はい”と言うしかありませんでした」と振り返る。続きを読む

女子校生
最下層女子校生・・・聞きなれない言葉ですが内容は衝撃的です。
彼女達の心の闇は深いものがあります。



 9月1日は、1年の中で少年少女の自殺がもっとも多い日である。夏休みが終わり、新学期が始まるその日に自ら命を絶つのは、彼ら彼女らを絶望の淵に立たせる深い闇が関係している。精神的・肉体的虐待、性暴力、そして貧困や学校でのイジメなどさまざまな要素が複雑に絡み合い、10代20代の若年女子たちの心を蝕んでいるのだ。それがときに自殺などの自傷行為に走らせたり、カラダを売ることによって承認欲求を満たし、生活の糧にせざるを得ない状況がある。そんな女子たちを救おうと、これまで3000人以上の女子に寄り添って話を聞いてきたNPO法人『BONDプロジェクト』代表の橘ジュン氏が、このほど『最下層女子校生~無関心社会の罪~』(小学館新書)を上梓した。橘氏に若い女性たちが抱える「闇」について聞いた。続きを読む

シングルマザー
貧困という一括りで語ってしまうと、どこか他人事になります。
貧しさは各家庭で起こっていることです。
今回は、3人を育てる45歳シングルマザーの生活ぶりです。



 今回紹介する女性は、3人の子どもを育てるシングルマザーだ。ごく一般的な女性だった彼女が、なぜ貧困に苦しむようになったのか。

 埼玉県央にあるJR駅。そこから50分~1時間に1本しかないバスに乗って20分、バス停の奥にシングルマザーの村上尚子さん(45歳、仮名)が居住する団地が広がる。築50年近くか、外壁は老朽して黒ずみ、すべての郵便ポストはさび付く。現在、18時半。村上さんは中学生、高校生の3人のお母さんだ。勤務先から帰宅した村上さんは慌てて子どもたちの夕飯を作り、“今日、帰りが遅くなるから”と書き置きし、われわれが待つ1階に急いで降りてくる。

 「本当に忙しいです。朝5時半に起きて子どもたちのお弁当作って、洗濯して、バスに乗って会社に出社して、夕方の買物をして、ご飯作って、片付けて、お風呂入って洗濯して、自由になる時間は23時過ぎ。それでひと息つければいいけど、いつも明日、明後日のおカネのことを悩む。最近はNHKの集金です。もし来たら、どうしよう、どうしようって眠れない日もあります。こんなこと、もう15年も16年も続いています。生活は苦しいし、希望はないし、毎日死にそうです」

仕事は時給1000円のパート事務

 一家が居住する埼玉県営の団地は、家賃月1万7000円。6年前に知り合いから譲ってもらった軽自動車がある。敷地内の駐車場代は月3000円かかる。ちなみに、軽自動車は走行距離が12万キロを超えている。平日は隣市の駅前にある不動産会社に勤める。渡された先月の給与明細“振込額計”は12万1426円だった。時給1000円、地域のほかの仕事と比べて破格というが、賞与があるわけでなく、年収は150万円を割り込む。

 明らかに相対性貧困に該当する年収150万円以下で、老朽した団地に家族4人で住んでいる。団地に住む世帯の過半数はシングル家庭で、村上さんだけではなく、多くの世帯が同じような貧困に苦しんでいるという。

 「子どもが中学生になると、どうしても食費はかかるので、買い物はもうすごく気を使う。安い店でしか買いません。コンビニは一度も使ったことがないですし、家族全員で外食もしたことありません。気をつけているのは、日々、無駄はしないことと、買い物する時間ですね。スーパーなら18時半すぎ。お肉でもお魚でも半額シールが貼ってあるものだけ。それは私だけではなく、団地のお母さんみんながしていること。子どもも半額食材を買うのを見て育っているので、自分でも半額シールのものをちゃんと買ってきます」

 世帯の家計をみてみよう。手取り給与は月12万円。家賃&駐車場で月2万円、光熱費月1万5000円、定期代月1万2000円、携帯代3000円×2台。残った6万7000円に加えて児童手当2万円、児童扶養手当5万円、そして2年前から高校3年の長男はアルバイトして2万~3万円を家に入れてくれている。長男の援助を含めて、月15万7000円で家族4人は暮らす。子ども3人の生活保護は、おおよそ18万円だ(母子世帯子ども2人の生活扶助基準額の例、厚生労働省ホームページより)。暮らしは生活保護水準を下回り、現在6人に1人と言われる子どもの相対性貧困率にも完全に該当する。

 「今の時給1000円のパート事務も、1年前に探しに探して1000円です。それまでずっと850~900円くらいだったから、もっと生活は厳しかった。ハローワークは44歳以下で区切りがあって、私は45歳なので多くの仕事は応募する資格すらありません。正社員とか、手取り20万円をもらえる仕事は皆無です。求人数はたくさんあっても、ほとんどが850~900円の非正規。さらに年齢的に厳しいので、収入は一生このままか、もっと低くなるかも。今、中学1年生の下の子が中学を卒業すれば、夜にダブルワークはできるかもしれないけど、今は息つく暇さえないくらい忙しい。シングル家庭の限界です」続きを読む

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