高齢者
高齢者の単身世帯が増えていますが、
これと同時に貧困世帯の割合も上昇しています。
高齢者が買い物をしたくても近所に商店が無い場合、買い物難民と言いますが、
生活インフラとして欠かせない存在となったコンビニが徒歩圏内に無い場合、
コンビニ難民と呼べるかもしれません。
また、生活苦とコンビニ難民は両者でリンクしている場合が多く、
該当者は大都市圏の近郊ほど多い傾向にあります。



● もはや生活になくてはならない コンビニ1店が提供してくれること

 日常生活の様々な場面で立ち寄る機会が多いコンビニエンスストア、いわゆるコンビニ。現在、北から南まで、コンビニ各社の店舗網は5万5000店を超え、年間売上高は約10兆円、1ヵ月間の来店者数は14億人に達する。

 我々がコンビニ1店を利用する目的は、弁当や雑誌の購入から宅配便の発送、コンサートなどのチケット申し込みまで、数知れない。もはや「コンビニのない生活など想像できない」という読者もいるだろう。

 一方、高齢化を伴う人口減少を背景に、日常の買い物に不便を感じる「買い物弱者」「買い物難民」が社会問題となっているのは、周知の事実だ。経済産業省の研究会が2010年に取りまとめた『地域生活インフラを支える流通のあり方研究会報告書』によると、過疎化が進んだ「農村部」と、かつてのニュータウンなどがある「都市郊外」という2つの地域を中心に、60歳以上の「高齢買い物弱者」は全国に600万人程度存在するとされる。

 2015年に公表された『買物弱者・フードデザート問題等の現状及び今後の対策のあり方に関する調査報告書』(経済産業省)でも、高齢の買い物弱者数は約700万人と推計され、5年前より100万人も増加した。

 その背景として、単純に60歳以上の高齢者人口が増加しているだけでなく、日常の買い物に不便を感じている高齢者の割合が、若干ながら高まっていることがあるだろう。人口減少に伴う商店街の衰退やスーパーの撤退など、自宅近くで買い物をする場所そのものが少なくなっている事情がうかがわれる。

 では、そこにコンビニが1つあればどうだろう。コンビニは日常の買い物だけではなく、預金の出し入れから、マイナンバーを用いた行政手続き、さらには防犯や防災、雇用まで、私たちに数多くの生活機能を提供してくれる。特に世界に先駆けて“超高齢化社会”に突入する日本においては、生活のあらゆる場面で“近くて便利な”コンビニが、その課題解決に貢献する可能性が高い。

 しかし、そもそも自宅から歩いて行けるくらいの距離にコンビニがなければ、いかに便利であろうと活用することはできない。「クルマがあれば」とは言うものの、高齢化とともに運転は難しくなるだろうし、現実として高齢者ドライバーが起こすトラブルのニュースが流れることも少なくない。

 そのような社会的背景もあり、筆者は徒歩によるコンビニへのアクセスに不便を感じる人々、特に高齢者を、買い物弱者・買い物難民ならぬ“コンビニ難民”と呼んでいる。

● マイナンバーの導入で役割が拡大 社会インフラになるコンビニ

 店舗数の増加や売上高の高まりとともに、存在感を増すコンビニ。単なる小売店としての役割にとどまらず、他業態を取り込むなどしながら事業領域を拡大し続けている。

 たとえば、銀行ATMの設置による金融サービスの提供や、公共料金の収納代行といった生活サービスの提供については、すでにほとんどのコンビニで実施されているのでご存じだろう。今では、住民票の写しや印鑑登録証明書の発行といった行政サービスの提供まで手がけるコンビニも増えた。

 さらには自治体と連携し、商品宅配サービス時における高齢者の見守り活動や、認知症サポーターの養成といった高齢化社会に向けた対応、無料Wi-Fiや外国語パンフレットの設置など、インバウンド(訪日外国人)への対応を強化している。

 特にマイナンバー制度の導入により、行政書類の交付サービスなどは一層広がるものと期待されており、コンビニはすでに経済や行政、物流など、各種サービスを提供する「社会インフラ」になったとも言える。

 コンビニ各社が加盟する一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会は、2009年に『社会インフラとしてのコンビニエンスストア宣言』を取りまとめた。この中では、環境負荷の低減や消費者の利便性向上に加え、まちの安全・安心や地域経済の活性化など、地域社会への貢献をその取り組みの目標に掲げている。

 実際、一企業の枠を超え、コンビニのインフラ化は進んでいる。2011年の東日本大震災時には、被災地への緊急支援物資の迅速な提供、都心部における帰宅困難者への水道水やトイレの提供など、今や“ライフライン”としての機能を有していることも明らかになった。

 最近では“コンビニエンス(便利)”というより“エッセンシャル(必要不可欠)”な拠点とコンビニを評する人もいる。しかし、コンビニが日々の生活に欠かせないインフラとしての地位を確立すればするほど、かえって自宅近くにその店舗がない地域の住民にとって、その不便の度合いが強まることも懸念されるのではなかろうか。

 自宅から徒歩圏内にコンビニが立地しておらず、不便な思いをしているコンビニ難民。果たしてどれくらいの数が存在していて、どの地域に多いのか。拙著『コンビニ難民』(中公新書ラクレ)にてその現状把握を試みた調査結果を、一部紹介したい。

 なお当データは、2015年7月時点における主要コンビニチェーンの店舗立地と、高齢者の居住地域の地理的関係から、その店舗網がカバーする徒歩圏人口を導き出している。

● 歩いてコンビニに行けない!  全高齢者の6割が「コンビニ難民」に

 詳しい解説は書籍に譲るが、調査では、日本全国1896市区町村のうち、対象とするコンビニグループの店舗が1店も立地しないのは、分析時点で141市町村もあることがわかった。また、最寄りのコンビニに徒歩で容易にアクセスできる一定距離(300m圏=分速60mと仮定した場合の徒歩5分、往復10分圏)内に居住する高齢者の割合は、日本全国で39%に過ぎないこともわかった。逆に言うと、全高齢者の6割程度が、徒歩によるコンビニへのアクセスに不便を感じる「コンビニ難民」と推計される。

 ただし、その地域格差は大きい。東京23区においては、なんと高齢者の86%が最寄りのコンビニから300m圏に居住していることになる。実際、東京23区では、あるコンビニから別の最寄りのコンビニまでの距離は、たった119m程度に過ぎない。この数値は、あなたが23区内でコンビニ店舗にいた場合、そこから直線距離にしてたった119m歩きさえすれば、かなり高い確率で別のコンビニへ到着することを意味する。それだけ密集しているのだから、東京23区に住んでいると、便利なコンビニの存在を「当たり前」のように感じてしまうことだろう。

 一方、人口20万人以上の規模の大都市でも、茨城県つくば市や、新潟県上越市などでは、高齢者の8割以上がコンビニ難民と推計される。また、三重県津市や島根県松江市、福島県福島市、佐賀県佐賀市などの県庁所在地クラスであっても、コンビニ難民比率が7割を超える都市は少なくない。これらの地域では、今後の人口減少がコンビニ難民のさらなる増加につながり、生活利便性の低下に拍車をかけることが懸念される。

 筆者は高齢者全体の6割をコンビニ難民と定義したが、実際には同居している子どもや孫がいれば、クルマで食品スーパーや薬局、役所などへ送ってもらったり、用事を代行してもらったりすることもできるだろう。確かに、そうした家族のいる高齢者なら、データ上ではコンビニ難民に該当していたとしても、特段の不便を感じないだろう。

 しかし単身高齢者、いわゆる独居老人や高齢者夫婦世帯がコンビニ難民になると、問題が深刻化しやすいと考えられ、一層の注意が必要だ。単身高齢者や高齢者夫婦世帯こそ、コンビニが徒歩圏内にあることが重要と考えられるからだ。

 ちなみに、コンビニ徒歩圏内に居住していない高齢者のうち、世帯に高齢者しかいない単身高齢者、高齢者夫婦世帯の人口を別途に推計したところ、全国で868万人いるという結果になった。

● 「高齢者のみ世帯」が コンビニ難民になると深刻

 地域別の詳細は割愛するが、「高齢者のみ世帯」のコンビニ難民該当者は、大都市圏の近郊ほど多い。これは高度成長期に地方から大都市へ流入した若者がそのまま高齢化したという事情が、背景として考えられる。そこに単身化や核家族化といった世帯構成の変化が加わったことで、地方・山間部ではないにもかかわらず、大都市近郊に「高齢者のみ世帯」のコンビニ難民が生まれているようだ。

 すでに店舗網が国内に張り巡らされ、もはや日本人の生活と切り離せない存在になりつつあるコンビニ。今回はそんなコンビニへ徒歩でアクセスすることが難しい「コンビニ難民」の存在について解説した。次回は、コンビニこそが超高齢社会の諸課題を解決するために一役買う理由について説明し、このところ動きの激しい大手コンビニ各社の動向を紹介したい。
http://goo.gl/EYCp3e(情報源)

 ← 参考になったら、ヨイネしてね
トラコミュ   40代女子の日常 ≫   40歳前後:アラフォーの離婚&再婚

どれか一つ、貧乏を応援してください
      ありがとうございました

にほんブログ村 その他生活ブログ 貧乏・生活苦へ 1 にほんブログ村 その他生活ブログ 家計管理・貯蓄へ 2