ひきこもりで・・・結婚
ひきこもりのまま結婚した40代男性。
現在は妻と別居して生活しています。
「誰かと一緒に住むのが苦痛」だという男性、
妻もその心情を理解して同居しないようです。
会うのは月2回ほど、半日デートして夜はそれぞれ家に帰ります。


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 現在、全国に100万人いると推測されるひきこもり。近年、中高年層が増加しており、内閣府は今年初めて、40歳以上が対象の調査結果を公表した。一般的には負のイメージがあるひきこもり。その素顔が知りたくて、当事者とゆっくり話してみたら……。

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二条淳也さん(40代)のケース

「ひきこもりではあるけれど結婚している男性がいる」と知人に紹介してもらったのが二条淳也さん、都内某所の喫茶店で待ち合わせた。

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「結婚していますが、一緒には住んでいません。僕、たとえ家族でも誰かと一緒に住むのが苦痛なんです」

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 妻となった女性とは知り合って10年以上たつが、結婚したのは数年前。結婚式を挙げた当日、ふたりでホテルに泊まったものの、翌日、妻は実家に戻り、彼はひとり暮らしのアパートへ。1週間、新婚旅行へは行ってみて、「やはりずっと誰かと一緒にいるのは無理だ」と痛感したという。

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母親に褒めてもらったことがない

 二条さんはサラリーマンの父と母、兄と妹がいる「ごく普通の家庭」で育った。「小学生のころは友達がいたんですが、中学生になった途端いなくなった。友達がみんな急に大人びて見えたから、僕だけが大人になりきれなかったのかもしれない」

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 孤立し、常にひとりだった。

 高校卒業後、就職も考えたが、与えられた机の前に座って40年以上も仕事を続けることを想像したら、とてもできないと思った。そこで卒業後はアルバイトをしながら、ひとり暮らしを始めた。

「進路に関して両親には何も言われませんでした。ただ、母親には褒めてもらったことも笑顔を見せてもらったこともないんですよね。兄も妹も出来がよかったから、親としては評価すべきところがなかったのかもしれません。僕自身も、小さいころから親に学校での出来事を話すような子ではなかった」

 父は理解者だが、母は「僕を否定する人。人生で土台になる愛情を与えてくれなかった過干渉の人」としか思えないと彼は言う。

生きていくために父親から月10万円

 飲食店、清掃、宅配便、工場など彼はアルバイトを転々とした。

 心身ともに疲弊していき、24歳のころ精神科にかかるようになった。安定剤や導眠剤を処方されたが、週に5日、めいっぱい働くのはむずかしい。週休2日では、身体はもとより心が回復しなかった。

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 それでも必死で働き、資金をためて28歳で大学入学。10年間、こつこつ貯めて勉強もしていたのだ。しかし翌年、学費を払えずに退学した。誰にも相談できなかった。せっかく入った大学なのに。

 生活保護を受給する手もなくはなかった。だが彼は「生活保護を受けるくらいなら自殺する」と手紙に書いた。命と引き換えならしかたがないと、以来、父親が毎月10万円を封筒に入れて持ってきてくれる。それから今にいたるまで、彼は仕事をしていない。

フラれる覚悟でひきこもりを告白

 20代のころから彼は、恋愛は「それなりに」してきたという。同年代の女性と長年付き合っていたこともあるし、ひと回り年上のシングルマザーと付き合ったこともある。ただ、ボランティア団体で知り合った年下の彼女は、今までの恋人とは違っていた。

 だけど、2年くらい付き合っているうちに、お金はないし妙な時間に電話に出たりするので不審がられて。フラレてもしかたがないと覚悟して正直に話したら、彼女は理解してくれました」

 彼女はフルタイムで働く正社員。おそらくいろいろ考えを巡らせたことだろう。正直に話してから数年後、彼女から結婚したいと言われた。

「あなたは今のままで何も変えなくていいからって。別居でいいし、会えるときに会えばそれでいいって。最初はびっくりしました。そんな結婚ってあるのか、それでいいのか、と。“私が結婚指輪を買うし、結婚式の費用も全部出す”と。僕が言うのもヘンだけど、とことん好きになったそうです(笑)」

 最後のひと言は言いにくそうに照れながら言葉を絞り出した。その笑顔がタレントの井ノ原快彦さんに似ている。「イノッチに似てるって言われませんか?」と思わず口にすると、ときどき言われると、また照れた。

「結婚してから、ひとりでいても不安ではなくなりました。

 ものすごく愛されているとわかるから。母には愛されなかったけど彼女は愛してくれる。もちろん、それでも母に愛されなかった心の穴が埋まるわけではないんですが……」

 結婚が決まってから、彼と両親で彼女の実家を訪ねた。結婚後も別居だと告げたとき、彼女の両親が不審そうな顔を見せた。

「僕の父親が、今はいろいろな結婚の形があるからとフォローしてくれました。そのうち同居するかもしれないし、とも言ってくれた」

心が回復するのに2週間が必要

 ふたりで会うのは月に2回ほど。多くの場合、半日デートして夜はそれぞれの家に戻る。彼は自室には誰も入れないので、ごくまれに夜を過ごすときはホテルなどを利用する。デートは彼女の行きたいところ。流行りの店に並びたいと言われれば、一緒に並ぶ。話をしているとあっという間に数時間がたつから、並ぶのも苦にはならないそうだ。ただ、「ひとりなら絶対に並ばない」と彼は言い切った。

「本当はもっと会えればいいんですが、どうしても1度会うと心が回復するのに2週間くらい必要なんです。そのことを彼女がわかってくれているのは本当にありがたい。彼女はよく、“生まれ変わっても一緒になりたい”“ふたりぼっちの家族だから仲よくやっていこうね”と言うんです。

 そういう言葉を聞くと、僕にとっても彼女はよりどころなんだなと思います。妻はいつでも僕の味方でいてくれる」

 彼は日常的にはあまり出かけることもなく、「高齢ひきこもり」というブログを運営したり本を読んだりしている。ブログには毎回、いくつかのコメントがつく。誰かが励まされてもいるだろう。時折、生きづらさを抱える人たちが集まる場所で「恋愛相談」を引き受ける。だが相談は「女性限定」だという。

 最近、妻と1か月に3000円ずつ出して貯金を始めた。

 親からもらう10万円の中から3000円を出すのは厳しいが、2人でひとつのものを持ちたかったから頑張っていると彼は言う。

「貯まったら何をしようかと話すのも楽しいですね。僕は、たとえ豪華な食事を食べられなくても、手をつないで歩いてくれる女性がいることがとても幸せだと思っています」
https://bit.ly/2zg5YoD(情報源)

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