生活保護を拒んだ
近年、賃貸物件の「家賃滞納」が確実に増加しています。
事業の失敗、年金受給年齢の引き上げ、低賃料物件の減少など、
主に経済的困窮が原因で発生するようです。

延べ2200件以上の家賃滞納者の明け渡しに関わった司法書士が、
実際扱った「家賃滞納」の事例を語っています。
家賃50万円超を滞納し「生活保護の申請」も拒んだ借主・・・
この先、なにひとつ好転しないような気がするのですが。


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お酒の飲み過ぎで体調を崩し、収入は半減…

毎晩夜中に酔っぱらった滞納者からクレームの電話を受け、困った家主からわたしのもとにSOSがありました。

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電話の主は杉田一郎さん(71歳)。実は半年以上も家賃を滞納している人物です。その額はすでに50万円を超えていました。



クレームの内容は、共用部分の掃除が行き届いていないとか、廊下の電気が消えそうだとか、緊急を要する内容ではありません。滞納しているのですから、おとなしくしていればいいものの、お酒に酔って毎晩のように電話してくるのです。

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契約書上、38歳の息子とふたり暮らしとなっていました。一郎さんは、28歳のときに1歳年下の幸子さんと結婚。31歳で長男を、33歳で次男を授かりました。仕事はタクシー運転手。年収は400万円弱、生活は決して豊かではありませんでしたが、なんとか家族4人が生活できていました。

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ところが65歳を超えたとき、一郎さんは体調を崩します。お酒の飲み過ぎなのか、肝臓を悪くしてしまいました。体調にあわせて仕事をセーブするので、収入は半減します。年金をきちんとかけていなかったために、収入が半減すると、生活は一転しました。

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長男は結婚してすでに独立。次男の浩司さんも会社員となり、家計を助けてくれています。おかげで生活に支障はありませんが、収入減が理由で幸子さんとは喧嘩が絶えません。幸子さんはパートに出るようになり、夫婦の仲はどんどん冷えきっていきました。

結局40年の結婚生活に終止符をうち、幸子さんはパート先で知り合った人と再婚するために家を出て行きました。

残された一郎さんと浩司さん。4人家族で住んでいた家は広すぎるので、ふたりで部屋を借りることになりました。浩司さんからすればひとりで生活できるところ、一郎さんだけでは収入的にも厳しいということで、浩司さんが一郎さんを引き取るかたちでの引越しでした。

家賃8万円、2DKのアパートで始まった男ふたりの新しい生活。それは決して順風満帆ではありませんでした。長年連れ添った幸子さんに裏切られたと、一郎さんはますますお酒に溺れていったからです。そうなると仕事に行く日は少なくなり、家計のほとんどを浩司さんが背負うことになりました。せめてその分、一郎さんが家事をすればよかったのでしょうが、なにせ今まで妻に一切を任せていた昭和の男。身体の不調を言い訳にして、重い腰を上げようとはしませんでした。

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一方の浩司さんは40歳を目前にした管理職。まさに働き盛りです。しかしこの状況では結婚だって躊躇せざるを得ず、家計も背負い、家事もふたり分となれば、逃げだしたくなるのも当然でした。

結局、ふたりの生活は半年も続かず、浩司さんは家を出て行ってしまいました。

「そんなに昼間から飲むんだったら、好きにしろよ。俺、父さんの犠牲にはならないよ。この金で安い部屋に引越しして、生活保護受給したら生きていけるから」

机の上には50万円が置かれていました。

先の見えない苛立ちの矛先が「家主」へと向く

「俺だって好きで身体を壊したわけじゃないぞ。国民年金をかけてなかったのも、もっと働けると思っていたからじゃないか。今まで酒は飲んできたけど、博打をするわけでもなく、真面目に家族のために働いてきたんだ。それなのに幸子は、男つくって出て行きやがった。こんなことってあるか?」

「ちょっと昼間から酒飲んだからって、浩司もぐじぐじ言いやがって。男が洗濯物を干す? 飯作る? あり得ねえだろう。いったい誰のおかげでここまで大きくなったと思っているんだ。俺のおかげだろ?」 

「親に向かって、文句言うなんて100年早いってんだ」

浩司さんが出て行ってからというもの、一郎さんのお酒の量は、ますます増えていきました。引越しや生活保護の申請など、生きていくための手段を講じることもなく、その月から家賃は滞納。50万円は、全てお酒に消えていきました。同時に一郎さんの心は、少しずつ蝕まれていったのでしょう。先の見えない苛立ちからか、その矛先が家主の方に向きました。誰かに文句を言うことで、バランスをとっていたのかもしれません。

孤独感を一層募らせる静まりかえった夜中、誰かと繋がりたくて、誰かにこの苛立ちをぶつけたくて、毎晩のように家主に電話してしまいました。

「廊下が汚ねえんだよぉ」

「明け渡しの判決」を言い渡さざるを得ない裁判所

裁判官が、しきりに一郎さんを説得します。生活保護を受給するか、あるいは身内の援助を得るか、そのどちらかでない限り、仕事をしていない一郎さんの生活は成り立ちません。裁判所で会う一郎さんは、もはやとても仕事ができるような健康状態ではありませんでした。それでも一郎さんは、お国の世話にはなりたくないし、子どもにも頼れないと頑なに拒みます。

こうなると裁判所としても、明け渡しの判決を言い渡さざるを得ません。そして強制執行の日が来ました。

夏の暑い日でした。荷物を運びだす準備を整え、執行官がドアの外で声をかけますが、返事はありません。インターホンを鳴らしても無反応です。仕方なく開錠して中に立ち入ると、一郎さんは服を何も身に着けず、酔っぱらって寝ていました。机の上には酒の空き瓶が並び、すぐ横には電話の子機が転がっています。昨夜もどこかに電話をかけてしまったのかもしれません。

執行官に服を着るよう促され、ヨレヨレの服を着た一郎さんは部屋の外に出されました。

「生活保護の申請をしましょう。一緒について行きますから」

その言葉を振り切り、一郎さんはたったひとりで歩いていきます。けれどもその先にはなんのあてもないはずです。

若いころ、生活が苦しいから年金をかけられない、でもその分、年をとっても働けばいい……。そう思っていたのかもしれません。でも人生は残酷です。

ほんの僅かなズレから生じた歪みは、微妙なバランスで成り立っていた家族の関係を崩してしまいました。そして傷ついた、固くなってしまった心は、社会から用意されたセーフティネットまで拒絶してしまったのです。
https://bit.ly/2LmCMUj

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