家賃滞納
家賃を滞納する人が増えているようです。
高齢化社会も影響しているのでしょうね。
私も、強制執行の現場を見たことがありますが、
運び出された家財道具に負のオーラが満ちていました。
同情すべき人もいますが、そうでない人もいますね、人生色々。


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家賃を滞納する人が増えています。司法書士の太田垣章子さんは、これまでのべ2千人以上と交渉してきました。強制執行で入った部屋にいたカップラーメンを「かじる」子ども。精神疾患で働けなくなった夫婦。太田垣さんは、滞納の背景には貧困化する日本社会の縮図があると言います。家賃滞納の現場について聞きました。

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部屋に子どもだけ、カップラーメンバリバリ

 ――「滞納の現場は日本の貧困の縮図」とおっしゃっています。



 「10年ほど前に強制執行で入った現場で、電気も水道が止まった中、3、4歳の子どもがカップラーメンの麺をバリバリかじっていました」

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 ――子どもだけが部屋に?

 「住民票や戸籍を見ても、子どもがいるとは記載されておらず、無戸籍でした。両親はおらず、急いでお弁当を買ってきましたが、言葉が通じませんでした」

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 ――他にはどのような経験がありますか?

 「別の現場では、部屋に入ると小部屋に分かれていて、いる人は『ホームレスとして公園で野宿していたとき声をかけられ、ここに住めるようになった』と話していました。台所には入居者と異なる、様々な名字の印鑑が。『いわゆる貧困ビジネスだ』と思って見ていました」

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働けない理由、聞いてみると……

 ――滞納者の中には、働きたくても働けない人もいるのでは。

 「現場で、精神疾患とみられる若者にもよく会います。緊急連絡先にある親に連絡すると『どうしたらいいんでしょうか』『私たちの育て方が間違っていたのでは』と逆に相談されることも。本人が幼少期の段階でサポートを受けられていればと何度も思いました」


 ――心の病気は目に見えないことが多いですよね。

 「20代で滞納していた夫婦は『僕たち、躁鬱(そううつ)病なんです』と話していました。夫はうつ状態になってしまうと仕事を休みがちになり、仕事を辞めざるをえなかった。妻は妊娠していました」


 ――どのような交渉をされたのですか?

 「互いの親のもとまでついていき、『何とか二人に協力していただけませんか』と頭を下げました。それでも平行線で、何度も一緒に役所に通い、やっと生活保護の申請が通りました」


立ち直るため、必要なことは

 ――働ける状況の人にはどのように交渉しますか。

 「家賃が安いところに引っ越して、そこから生活を立て直してがんばっていこうよというスタンスでのぞんでいます」


 ――立ち直ることができた人はいますか?

 「100万円近く滞納していた夫が、他の女性と麻薬を使用した疑いで逮捕されたケースがありました。残された妻には3人の幼い子どもがいました。連帯保証人の父には資産があり、『お孫さんと一緒にご実家に戻ることを許してあげて下さい』と電話。滞納額は払ってくれたものの、結婚に反対していたので実家に戻ることは許しませんでした」


 ――その後の彼女は?

 「結局彼女は、離婚して子どもたちと生きて行く道を選びました。母子シェルターに入った後、公団に転居して、生活を立て直しました。今でも母の日には毎年、彼女から白い花が送られてきます。寄り添った結果、100人に1人は、このように、やり直すきっかけになったと言ってくれる人がいます」


お年寄りの滞納が、深刻な理由

 ――太田垣さん自身は家賃を払ってもらい、退去してもらいたい依頼主の側。寄り添うには限界もあるのでは。

 「もちろん私は、あくまで債権者側で、1円でも多く滞納分を払って1日でも早く出てもらう立場。滞納者から見ると『悪い人』です」


 ――その立場を自覚しながら、寄り添うということの意味は?

 「多くの司法書士や弁護士がやるように、事務的な手続きだけで現場に行かずに追い出すのは簡単ですが、それだと同じことを繰り返して、根本的に滞納者は減っていかないし、気持ち的にもそれはできない」


 ――高齢者の滞納も増えているそうですね。

 「70歳以上になると、引っ越さなければならないとわかっていても、お金がないから動けないというケースが多く、執行官もためらいます」


 ――実際にどんなケースがありますか?

 「7年ほど前、60年間住み続けていた木造アパートの取り壊しが決まり、1人だけ残っていて滞納もしていた目の見えないおじいさんがいました。当時80代。入った頃は目も見えていて働いていたのに途中で見えなくなったために、部屋のある物の位置が変わるところに行きたくないし、人が信用できなくなっていた」


 ――どのような支援をされたのですか?

 「お弁当を持って通い、一緒に視覚障害者用のグループホームを見つけました。しかし、身内のサインが必要で、90代の兄にもらいに行きましたが、くれなかった。結局、1年かけて別の施設を探してそこに入ってもらいました」
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