失火? 放火?
7億円の保険金を巡る裁判です。
火事になった工場なんですが、失火か放火かで判断が難しい。
現在も高裁で係争中ですが・・・どうなるんでしょうね。


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平成25年の暮れも押し迫ったある夜、埼玉県北部で起きた火災が、東京高裁で係争中だ。

 原告は火災で工場が半焼した精密機械器具部品の設計・製造会社の社長。社長側は「火災は失火だ」と主張し、対象の保険金約5億円の支払いを求めた。これに対し、保険会社は「7億円の保険に加入して23日後に起きた火災であり、保険金が目的の放火だ」と主張。真っ向から争っているのだ。

 「放火」の線を捨てていた地元消防、警察署

 工場の近隣に住む第一通報者の男性(39)は自宅2階でテレビを見ていた。「外から異音がするので、窓を開けたところ、火災を見つけ、母に通報を依頼し、走って社長さんの家に知らせに行ったのです」(地元消防署消防司令作成の報告書)。

 社長は風呂に入っていた。男性の母(63)の通報で到着した地元消防署は直ちに消火活動を始め、午後6時50分ごろに出火した火災は、同8時21分、ようやく鎮火した。当時吹いていた風速3メートルの北風にあおられ、528・84平方メートル中、293・94平方メートルが焼け、切削機約30台などが焼損した。

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 社長ら会社側の説明によると、この日、午後6時14分から15分にかけて、「専務」と会社で呼ばれている社長の息子、工場長の男性の2人は工場出入口を施錠して工場を出た。以後は無人だった。

 現場に駆けつけた消防署員は、工場北側の窓越しに見える炎を確認している。目撃者の男性も同様の証言をした。

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 地元消防は、こうした目撃証言や、切削機周辺の燃え方が激しかったことから「出火原因は不明」としながらも、切削機周辺(地図中の炎のマーク付近)の出火を示唆した報告書を後日、作成した。「放火」の線はこの段階では警察も消防も疑っていない。

 「切削機周辺の焼損が激しく、切削機の保護カバー内部が白く変色していた」(地元消防署の報告書)。現場からたばこの吸い殻は見つからず、工場内では吸わないよう指導していたことから、たばこの火の不始末による出火は、早々に除外された。切削油や潤滑油からの出火は、その引火点の高さから「可能性は極めて低い」とされた。電気関係は配線が確認できないとし、「切削粉について、粉が堆積した加工室内で時間経過とともに酸化、発熱し、高温となって切削油に引火した可能性が考えられる」としながらも、出火原因の特定には至らなかった。

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 火災後に現地を訪れた切削機メーカー「シチズンマシナリー」の担当者は「機械購入から20年近くが経っていて、その間、メンテナンスもしていないから、劣化のため、消火装置が作動せず、切削機から出火したかもしれない」旨の証言をしている。

 出火23日前に入った7億円の保険

 「放火の可能性がない」火災事故の様相が一変したのは翌年の7月だった。「保険金の支払いはできない」と東京海上日動火災保険が社長側に通知したのだ。

 実は社長は火災が発生した23日前、7億5200万円の保険金を掛けていた。年間保険料は124万円に及んだ。その1回目の支払い期日も来ないうちに火災が起きたのだった。

 もともと社長は別の保険会社と平成20年に極度額5億5千万円の保険に加入していた。ただ、その保険金は25年には3億円まで下がっており、減少傾向にあった。

 それが一転、従来の保険会社とは別の東京海上日動火災保険と7億円に及ぶ保険契約を結び、間もなく出火したとなれば、保険会社が原因調査に躍起になるのも当然といえた。

 もっとも社長側にも言い分があった。保険を勧めてきたのは東京海上側の代理店主だし、自分はそれに従って加入しただけだ。しかも保険金額が上がったのは、機械を新しくしたからだ、と。

 工場から灯油成分。そしてもう一カ所の火元が…

 実は東京海上側は火災8日後に株式会社分析センターに現場調査と油性成分の分析を依頼していた。

 この同センターは工場北側床コンクリート、工場北西側基礎部分のコンクリート、北側中央付近コンクリート、西側壁中央付近の基礎のコンクリート、北東側に設置した切削機の加工室内の切削粉、同切削粉の排気口にあった布地、南東側壁の土台にあった炭化木片、南東側窓下にあった炭化木片を試料として採取、ガスクロマトグラフ質量分析計で油性成分の判定実験をした。

 この結果、すべての試料から切削油が検出され、北側中央付近コンクリートなどからは灯油成分が検出された。北側中央付近のコンクリートは、試料1グラム当たり1600マイクログラムと特に顕著だった。

 同センターの金子裕一郎氏は工場の南側で「独立した燃焼」があり、これは北側から発生した火が天井を伝って燃え移ったものではない、との報告書を平成28年6月24日付で出した。

 また火災原因鑑定研究所の土方忠道所長は実地調査した結果、金子氏と同様に、工場北側の給材機と壁の間付近、及び南側の東よりの計2カ所に火元がある、と平成26年4月13日付の鑑定書で警察、消防と異なる見解を表明した。

 さらに海洋総合技研は平成27年12月25日付で「切削機の切削粉から出火と考えるのは困難」との実験結果を記した報告書を作成した。

 つまり、同時に2カ所の火元があるということは、何者かによる放火を強く示唆している。

 保険会社はこれらの鑑定結果に加え、(1)切削機に消火装置があったが、作動した形跡がない(2)実験で、切削油や潤滑油にライターで30秒間、着火しようとしても火が付かなかった(3)切削粉の引火点である210度まで切削粉を加熱させても、空気中に放置すると、短時間で温度低下した-などとして、切削機からの出火を強く否定した。

 変遷した会社側の主張

 この「灯油」検出の事実に会社側は以下のように反論した。

 「工場では製品の洗浄油として灯油を使用していた。さびを防ぐためにポリバケツに製品を入れ、工場内に保管していた」

 これに対し、保険会社側は「当初、社長らは工場内に灯油はないと話していた」と真っ向から反論。

 保険会社では火災から日を置かず録音された記録を提出。そこで社長は灯油の存在を否定していると主張した。

 これに対して、社長側は録音記録に「えっ、これは」という社長の声が入っていることを根拠に「訂正しようと思ったが、機を逸してしまった」と再反論した。

 この点、平成27年1月23日、分析センターの金子氏が法廷で証言している。

 平成7年に入社した金子氏は750件以上の火災現場を見ているなどと述べた後、工場関係者が「ポリバケツを20個くらい工場に置いていて、中に灯油が入っていました。保険会社の関係者が来る前に(バケツを床から)はがした」と述べたことについて、次のように述べた。

 「樹脂製品がコンクリートに溶融して固着すると、液状になるんですね。それははがすの、大変なんですよ。通常ははがせない」

 (被告〈保険会社〉代理人弁護士)「あなたがおっしゃてる緑色の樹脂、これははがれていますか」

 (金子氏)「はがれていないと思います」

 (弁護士)「それはどういったことから判断されますか」

 (金子氏)「これは今、言ったように緑色の塗料が残っていることと(床は緑色だった)、仮に20個の樹脂が溶けると、これは多分、壁にも一定程度接触していると思うんですね。物が接触すると煤が付かないんですね。コンクリート、これは一様に煤が付いていると思うんですね。さらに床には緑色の塗料が残っていますから、20個のポリバケツが溶融して液状化して、それを強引にひっぺがしたというような痕跡には私の経験上からは見えないと思います」

 一方、同じ日に出廷した火災原因研究所の土方氏も次のように証言した。土方氏は66歳。昭和52年から平成23年まで神奈川県警の科学捜査研究所で勤務し、平成10年以降は物理科長を務め、県警で約2千件の火災鑑定などを行った。

 (被告〈保険会社〉代理人弁護士)「本件火災において、何らかの原因で切削油剤が十分に供給されない状態になって、加工点が発熱、発火した可能性は考えられますか」

 (土方氏)「この状況からはちょっと考えられません」

 (被告代理人)「考えられないというのは写真の状況からということですか」

 (土方氏)「それ以外にもありますけれども、通常、加工点、要するに加工するものを切削する刃によってこれを削るんですけれども、そのところで熱を持つというのは摩擦熱がほとんどです。それは油が供給されないと、そういう状況になります。そういう状況になりますと、切削工具、もしくは切削物が摩擦熱によって溶けるような状況に至ります。そういった状況が全く見られない。ということは、加工してる時点で異常発熱したことは見られないと判断する基準になります」

 東京地裁の判断は?

 工場側は「水平な屋根を伝って、炎が北から南に延焼した。2カ所の火元は存在せず、火元は1カ所」と主張した。が、保険会社側は「工場は西側が高い片流れの屋根であり、水平な天井はなく、天井を支持する構造材や木材もなかった」と反論した。

 また工場側が「経営は順調で、実際に工場は存続しているし、社長の資産は不動産評価額だけで2億9千万円あまりになる」としたのに対し、保険会社側は「工場用地に予定していた埼玉県伊奈町の土地を資金繰りのため手放している売上高は減少しており、平成25年3月期は債務超過となっていた」として反論。

 工場側が社長や「専務」にアリバイがあると主張したのに対し、保険会社側は「社長のアリバイは自宅から工場は至近距離のため、風呂に入っていたとしても、アリバイとならない」とし、「専務」についても「自宅を午後6時半から40分ごろに出発し、ガソリンスタンドで給油中に社長から火災の一報を聞いたというが、ガソリンスタンドは自宅から5~6分のところにあり、消防に通報があったのは午後7時1分だから、社長から電話を受けたというのは時刻が不自然だ」として否定した。

 また出火元の工場と渡り廊下でつながっていた工場の引き戸が閉まってはいたものの無施錠だったことを根拠に、工場側は「外部放火の可能性」を主張した。

 東京地裁(吉村真幸裁判長)は次のように判決した。

 「本件火災は、原告代表者、及びその意を受けた者によって引き起こされた人為的火災であるから、本件火災に基づく保険金の請求は、被告の故意免責が認められる」

 つまり、社長か社長の意を受けた人物による放火、と判示したのだ。火元が2カ所あり、切削粉からの出火は考えられないという保険会社側の言い分を全面的に認め、灯油成分が検出されたことを放火の判断の根拠とした。また社長が経営する会社の経営状況は「とりわけ悪かったわけではない」としながらも「伊奈町の土地を売却していること、一時、債務超過状態にあったことから資金繰りは悪化していた」と保険会社の主張をほぼ認めた。

 屋根に関しても、水平だったという根拠はなく、工場側が「火災直後の目撃者は皆、南側の出火を見ていない」として、出火元を1カ所だと主張したのに対し、「南側の出火を否定するものではない」と退けた。

 この裁判は、社長側が控訴し、東京高裁でなお係争中である。

 埼玉県警が捜査しているという話は聞かない。燃えた工場は今は新しくなり、稼働しているようである。
https://goo.gl/iFwaHR

ねえ、難しいでしょ。
これに判断を下すのは・・・悩みますね。
どこかの金額で示談になるとは思うのですが・・・